中小企業診断で飯を食え!腕をあげたきゃ備忘録!

中小企業経営に関わる網羅的範囲について備忘録的に更新していきます。

経営戦略の構成要素 ~ 競争優位性・・・VRIO分析 ~

競争優位性の観点から自社の経営資源を見ようとすると、

経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)自体が競争優位性を

持つかどうかの分析も必要になってきます。

 

そうした「経営資源自体の競争優位性」の分析のために

しばしば用いられるのがVRIO(ヴェリオ)分析です。

VRIO分析

自社の経営資源の競争優位性分析は以下の4つの点から分析します。

① 資源の価値(Value)
② 資源の希少性(Rarity)
③ 資源の模倣困難性(Inimitability)
  → 歴史的要因
  → 因果関係の不明性
  → 社会的複雑性
  → 特許
④ 資源を活用する組織(Organization)
① 資源の価値(Value)

競争優位を保つのに、その経営資源が価値あるものかを分析します。

より具体的には、

その経営資源があれば、事業機会を逃さず、

脅威にもうまく対応できるかどうかを分析します。

② 資源の希少性(Rarity)

自社の独自性や競争優位性を保つためには、

自社が持っている経営資源と同じ価値のものを、

他社はできるだけ持っていないでほしいわけです。

したがって、

競争相手のうち何社が、その価値ある経営資源を保有しているか

を調べます。

③ 資源の模倣困難性(Inimitability)

「資源の希少性」分析の時と同様、自社の経営資源と同価値の資源を

他社には持っていてほしくないわけですから、

その経営資源を他社がどれだけ得にくいかを分析する必要があります。

より具体的には、

その資源を持っていない企業が、その資源を得ようとしたとき
その企業にコスト面での不利が生じるか

という観点での分析を行います。

「模倣困難性」の4つの規定要因

模倣困難性がどの程度かを規定する要因は以下の4つです。

1. 歴史的要因

ある経営資源がその企業独自の歴史的要因で成り立っていたり、

歴史的要因がなければ得られなかったものである場合、

他社がそれを模倣することは困難だと言えます。

したがって、強みとする経営資源が歴史的要因によるものかどうかを

分析しておく必要があります。

また、こうした経営資源が形成されるにあたって、それが過去の出来事や

発展経路に依存している程度を特に

「経路依存性」

と言います。

 

2. 因果関係の不明性

競争優位を生む経営資源は、それをどうやって得たり形成したりしたのか

がよくわからないほど、真似するのは困難になります。

したがって、その入手方法や形成要因がどの程度わかりにくいかを

分析しておく必要があります。

 

3. 社会的複雑性

特定の経営資源が、物理的なものでなく、

社会的な要因でもたらされたものであれば、

他社がそれを真似するのは困難です。

 

4. 特許

知的財産として法的保護を受けていれば、

他社が真似するのは困難です。

特に、特許がある場合は、その知的財産(経営資源)を

他社が利用しようとする場合、特許使用料がかかりますから

明確に「コスト面の不利」が生じることが多いでしょう。

 

④ 資源を活用する組織(Organization)

経営資源

①価値があり

②希少で

③模倣困難

であっても、

それを上手く活用する組織がなければ

根本的に競争優位性は担保できません。

経営戦略の構成要素 ~ 競争優位性・・・コアコンピタンス ~

ドメイン決定と資源展開パターンを通じて競争相手に対して築く独自性

のことを競争優位性と言います。

コアコンピタンス

「コンピタンス」とは「力」や「能力」というような意味です。

したがって「コアコンピタンス」とは「中心的な企業の力」となりますが、

つまりは、

経営資源を組み合わせて企業の独自性を生み出す組織能力

のことです。

ある企業が、他社に対して圧倒的に上回る部分

ということもできます。

これは企業の持続的な競争優位性の源泉となります。

コアコンピタンスの3要件

コアコンピタンスには3つの要件があります。

持続的な競争優位性の源泉となる企業の独自性を作るためには

こんなことが必要ですよ、ということですね。

① さまざまな市場へのアクセス可能性

持続的な競争優位性を持つためには、

コアコンピタンス独自性を生み出す組織能力)が一つの市場に対してだけ使えるものではなく、複数の市場への展開に対して応用できるものでなければなりません。

コアコンピタンスは「組織の能力」ですから、

こうした広がりを持たせることが重要なのですね。

② 特定顧客の利益に重要な貢献

「他社に比べて圧倒的に上回る独自性」とも言えるコアコンピタンスは、

ただの「ディファレンス(違い)」ではありません。

他社と違うだけでなく、その違いや独自性が特定のセグメントの顧客に対して強い訴求力を持っていなければならないでしょう。

且つ、そうした顧客に対してきちんと重要な価値を提供できる独自性である必要があります。

③ 模倣困難

コアコンピタンスは「他社にくらべて圧倒的に上回る」「独自性」なわけですから、

簡単に真似できるようなものはコアコンピタンスとは呼べません。

簡単に真似できないからこそ

「持続的な競争優位性」が担保できるのです。

したがって、他社で成功したビジネスモデルを自社に移植するといったことは

基本的に自社以外にもできることですから、

コアコンピタンスにはなりませんし、「持続的な競争優位性」とはなりません。

経営戦略の構成要素 ~ ドメイン(事業領域) ~

ドメインとは、

企業の事業がどうあるべきかを明示した企業の生存領域

のことです。

ドメイン設定の意義

① 意思決定の焦点が定まる(事業展開発案のベース)

② どんな経営資源の蓄積が必要かの指針となる

③ 企業全体の一体感

ドメイン設定の範囲

範囲が狭すぎると、

狭い範囲の消費者にしか訴求できず、

顧客ニーズへの適合が難しくなりますが、

範囲が広すぎると、

経営資源が分散し、且つ

無意味な競争にも巻き込まれやすくなります。

ドメインの定義

物理的定義

「モノ」中心のドメイン発想。

映画会社がドメインを「映画の製作」と定義するような場合です。

ドメインが具体的で対象顧客や製品の性格をイメージしやすいですが、

現在の事業領域を超える発想が出にくいというデメリットがあります。

機能的定義

「コト」「顧客のニーズ」中心のドメイン発想。

映画会社がドメインを「エンターテイメント」と定義するような場合です。

HP制作会社がHPというモノづくりから「コトを支援する」事業に展開していく場合の発想は機能的ドメインの定義ということになるでしょう。

機能的定義は、事業の発展可能性や広がりを感じさせる一方で、

ドメインが抽象的になりがちで、ターゲット顧客や事業・製品の性格が不明確になりやすい傾向があります。

物理的定義よりも、単純に「分かりにくい」ため、

事業の構成員にそのドメインの真意や具体的な部分を周知し、一貫させるために何らかの施策を設ける必要があるかもしれません。

ドメインコンセンサス

ドメインはある一定の時期に設定するものですが、市場の変化にともなって、そのドメインが必ずしも適切でなくなることもあります。

したがって、ドメインは環境変化に合わせて変化させることも時は必要です。

つまり、経営を行う中で、環境変化が起こったときに変化による対応ができないような組織運営をしないように注意する必要があります。

 

また、ドメインはただの言葉や明文では意味をなしません。

ドメインは事業の当事者たちがそれを意識できて初めて意味がありますから、

組織の内部・外部ともにドメインの合意(コンセンサス)を得ることが必要です。

これをドメインコンセンサス」といいます。

経営戦略の4構成要素

経営戦略には以下の4つの構成要素があります。

① ドメイン
② 資源展開
③ 競争優位性
④ シナジー

つまり、
経営戦略の階層構造である、

企業戦略
↓
事業戦略
↓
機能戦略

を考える際、

企業の生存領域である事業領域(ドメイン)はどこにして、
その中で経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)をどう配分して、
それによって競争者に対するどのような独自性を作り、
その為には、販売・生産・マネジメントにおけるどのようなシナジーを発揮するか

も計画して達成していくことが必要ということです。

経営戦略

経営戦略は以下のように、経営理念から始まる階層的構造を持ちます。

経営理念
↓
経営ビジョン
↓
経営戦略

したがって、経営戦略は、

経営理念と経営ビジョンとの一貫性を保つ必要があります。

 

また、経営戦略はさらに以下の様な階層構造を持ちます。

経営戦略
↓
企業戦略
↓
事業戦略(n個)
↓
機能戦略(n個)

つまり、経営戦略は、

企業戦略

まず、自社の事業領域(ドメイン)を決定し、そのなかで限られた経営資源をどのように配分ないしは展開し(資源展開)、下にある複数の事業の間でどのようなシナジーを生み出すことで「企業の成長」を実現していくかという全社的戦略を描く「企業戦略」に始まります。

事業戦略

次に、企業戦略の下にある数々の個々事業に焦点をあてます。

個々事業はSBU(Strategic Business Unit 戦略事業単位)と呼ばれ、それぞれの事業単位で競争優位性を確保していくために必要な資源配分や資源展開を考える「事業戦略」に続きます。

機能戦略

「企業戦略」を実現するための最適な「事業戦略」が描けたら、

「事業戦略」で資源配分を決めた生産・営業・開発・財務・・・などの

個々の「機能」の生産性をいかに高めるかを策定する「機能戦略」へと

深めていきます。

経営ビジョン

経営ビジョンとは

抽象的な経営理念と、具体的な行動基準である経営行動基準との間にある、

「自社の望ましい未来像」です。

 

つまり、企業がある時点で

「こうなっていたい」

という中期的な到達点のイメージと言えます。